政策金利1%でどうなる?東京都中古マンション市場、都心と住宅地で二極化が進行中!
- 2026/6/27
- 投資・FX
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政策金利上昇で不動産市場はどう変わる?
2026年6月、日本銀行は政策金利を1.0%に引き上げました。ゼロ金利政策が終わってから段階的に進められてきた利上げは、いよいよ新しい金融環境の始まりと言えるでしょう。
政策金利が上がると、住宅ローンや事業用の融資金利も上がります。これは不動産市場にとって、とっても大事な変化なんです。特に中古マンション市場では、家を買う人の資金調達コストが上がって、住宅取得のしやすさや投資の採算性に影響が出る可能性があります。
これまで東京都の中古マンション市場は、価格がどんどん上がっていたこともあって、すごく活発な取引がされてきました。でも2025年以降は、高額なマンションを中心に在庫が増えたり、売れるまでの期間が長くなったりと、市場に少しずつ変化が見え始めています。
そこで今回は、政策金利の引き上げが東京都23区の中古マンション市場にどんな影響を与えているのか、「販売期間」と「値下げ回数」という二つの指標を使って見ていきましょう。
東京都23区全体ではまだまだ強い市場!
まずは東京都23区全体(都心5区を除く、普通の住宅マーケットを含む)の動きを見てみましょう。市場の基本的な体力は、まだまだ強いことが分かります。
売り出しを始めてから契約が成立するまでの期間(販売期間)と、売るまでに値段を下げた回数(値下げ回数)を分析すると、2025年初旬まではどちらも減る傾向にありました。
これは、売主さんが価格を調整しなくても、比較的短い期間で売れていたということ。つまり、買いたい人がたくさんいたことを示しています。

特に、政策金利が0.25%に上がった2024年中盤以降も、この傾向は大きく変わりませんでした。
つまり、当時の東京都23区では、住宅ローン金利が上がっても、それを吸収できるくらい「本当に住みたい人たち」の需要があったということ。金利が上がっても、市場全体の活発さにはあまり影響がなかったと考えられます。人口流入が続いていて、家を買いたいニーズが高かったため、実需マーケットはとっても底堅い動きを続けていたと言えるでしょう。

金利0.75%を境に売主さんの考え方に変化が
一方で、市場には少しずつ変化も見え始めています。
政策金利が0.5%になった2025年初旬以降は、販売期間も値下げ回数もだいたい横ばいで推移しました。つまり、金利がさらに上がったにもかかわらず、市場は一定の活発さを保っていたわけです。
しかし、政策金利が0.75%に上がった2025年末以降になると、状況は少しずつ変わってきます。
販売期間自体は大きく悪化していないものの、値下げをする物件の割合が増え始めました。
これは、売主さんが今までのような強気の価格では売れにくくなり、市場の価格に合わせるケースが増えてきたことを示しています。
言い換えれば、「待っていれば売れる市場」から、「価格を調整しないと売れない市場」へと、売主さんの行動が変わってきているということですね。
2026年6月に政策金利が1.0%に到達した現在、この傾向はさらに進む可能性があります。
とはいえ、現在の東京都23区全体の市場の活発さは、歴史的に見ればまだまだ高い水準にあります。なので、市場全体が急に悪くなるというよりも、ちょっと過熱しすぎていた市場が、徐々に落ち着いた状態に戻っていく途中と捉えることもできそうです。
都心5区は一般住宅市場とは違う動きを見せる
高額なマンションがたくさんある都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)では、もっと早い段階から市場の変化が見られています。

販売期間と値下げ回数を分析すると、政策金利が0.25%に上がった2024年中盤以降、すでに販売期間が長くなり、値下げをする頻度が増え始めています。
この背景には、単に金利が上がっただけでは説明できない理由があります。
都心5区は、住む目的で買う人だけでなく、国内外の投資家さんや資産を持つ目的で買う人も多く参加する「実需と投資が混ざったマーケット」なんです。
2023年から2025年にかけては、再開発への期待や海外からのお金、超低金利などが理由で、価格が急激に上がりました。
しかし、価格が上がるスピードが、実際に住みたい人たちの買える力を超えるようになると、買える層はだんだん限られてきます。
その結果、売り物件が増え始めたタイミングで価格調整が必要になり、販売期間が長くなったり、値下げが増えたりする形で表面化していると考えられます。
つまり都心5区では、金利が上がっただけでなく、価格が上がりすぎたこと自体が、市場の活発さを低下させる大きな原因になっている可能性があるんです。

湾岸エリアでは変化がさらにハッキリと
この傾向は、東京都の湾岸エリアではさらにハッキリと現れています。
晴海・勝どき・豊洲・有明などでは、近年、新しいマンションの供給や大規模な再開発への期待から、中古マンションの価格も大きく上がりました。一方で、転売目的や資産運用目的で持っている人も多く、市場環境の変化を受けやすい特徴があります。

実際に、政策金利が0.75%となった2025年末以降は、値下げの頻度が急激に増えていて、価格を維持したままでは売れにくい状況が広がっています。
また、高額な物件ほど住宅ローン金利が上がると毎月の返済額への影響が大きくなるため、買いたい人がより慎重になる傾向も強まります。
そのため、都心5区や湾岸エリアでは、「価格が上がりすぎたことによる需要の一巡」と「金利上昇による購入力の低下」が同時に作用し、他のエリアよりも市場の活発さにブレーキがかかる可能性が高いと考えられます。

市場の調整は必ずしも悪いことじゃない!
とはいえ、この変化を悲観的に捉える必要はありません。
これまで東京都心部では、短い期間で価格が大きく上がったことで、実際に住みたい人が買いにくい市場になっていた面もあります。
価格調整が進むことは、急激に高騰した価格を、実際に住みたい人が買えるくらいの水準に近づける効果も期待できます。
つまり、市場の活発さが少し低下するのは、市場がダメになったわけではなく、価格と需要のバランスを取り戻すための「正常化プロセス」とも言えるでしょう。
適切な価格形成が進めば、これまで購入をためらっていた実需層が市場に戻ってきて、中古マンション市場は再び安定した取引を取り戻す可能性があります。
2026年以降の東京都中古マンション市場では、「価格が上がるか下がるか」という単純な見方ではなく、エリアごとの市場の活発さの違いを見極めながら、市場が健全な状態へ変わっていく過程をこれまで以上にしっかり見ていくことが重要になりそうです。
筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員
早稲田大学理工学部を卒業後、大手不動産会社でマーケティング調査を担当。その後、建築設計事務所で法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社で不動産市場調査や評価指標の研究・開発を行う傍ら、顧客企業の不動産事業における意思決定などをサポートしています。また、大手メディアや学術機関などにもデータや分析結果を提供しています。





























