湾岸マンション、10%値下げは序章?金利上昇で不動産市場はどう変わる?

  • 2026/8/22
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湾岸マンション市場に異変?「10%値下げ」が示す現実

最近、ニュースなどで「港区や湾岸エリアの高額マンションが値下げされている」「なかなか売れない」といった話を耳にすることが増えましたよね。実際に、中央区や江東区の湾岸エリアでは、中古マンション市場に大きな変化が起きていることが、マンションリサーチ株式会社の調査で明らかになりました。

かつては「値上がり期待」が市場を牽引

これまでの湾岸エリア、特に大型タワーマンションは、住むためだけでなく、国内外の投資家からの人気も高く、価格がどんどん上がっていました。円安や超低金利、都心での新しいマンションの供給不足などもあって、「買っておけばもっと値上がりするはず!」という期待感が市場全体を盛り上げていた時期が長く続いていたんです。

在庫急増の背景

しかし、そんな状況も2024年中盤頃から変わり始めました。特に高額帯の大型マンションを中心に、売りに出される物件が急に増えたんです。これは、「売ればすぐに売れる」と考えていたオーナーさんが利益を確定しようと動き出した一方で、その高い価格で買いたいという人が減り始めたことを意味しています。つまり、価格は高いままでも、実際に売買が成立する「流動性」は徐々に低下していたわけですね。

在庫は落ち着いたように見えるけれど…

以下のグラフを見ると、中央区・江東区の湾岸エリアでは、確かに2024年中盤以降に中古マンションの在庫がグッと増えています。でも、最近の動きを見ると、在庫の増加ペースは落ち着いてきて、横ばい、あるいは少し減っているように見えます。

湾岸エリア (中央区): 中古マンション在庫の推移

湾岸エリア (江東区) : 中古マンション在庫の推移

このグラフだけ見ると、「市場が回復してきたのかな?」と思うかもしれません。でも、実は話はそう単純ではありません。市場の本当の状況を知るには、在庫の数だけでなく、実際に物件がいくらで売れているのか、つまり「成約価格」の決まり方を見る必要があります。

「10%値下げ」が示す今の相場

調査によると、2025年後半からは湾岸エリアで売り主さん同士の価格競争がかなり激しくなっていることが分かりました。今では、平均して10%以上の値下げをしてからようやく売買が成立するケースが一般的になっているそうです。これまで強気だった売り主さんも、価格を調整しないと売れなくなっているんですね。

湾岸エリア(中央区・江東区):中古マンション成約時までの値下げ率

つまり、在庫が横ばいになったのは、急に需要が回復したからではなく、多くの売り主さんが価格を大きく下げた結果、ようやく取引が成立するようになったため、と考えられます。現在の湾岸エリアでは、売り出し価格そのままではなく、そこから約10%値下げした価格が、買い手にとって受け入れられやすい「実勢価格」になっていると言えるでしょう。

金利上昇が市場を変えた

なぜこのような変化が2024年中盤から始まったのでしょうか。大きな理由の一つとして考えられるのが、日本銀行がゼロ金利政策を解除し、「金利のある時代」に移行したことです。

政策金利が上がると、住宅ローンの金利も少し遅れて上がります。湾岸エリアのマンションは1億円を超える高額物件が多いので、借り入れ額が大きい分、ほんの少しの金利上昇でも毎月の返済額や総返済額に与える影響はかなり大きくなります。その結果、これまで買えていた層の一部が、ローンの負担増で市場から離れていったと考えられます。

投資家も慎重に

影響を受けているのは、住むために買う人たちだけではありません。湾岸エリアは国内外の投資家にも人気でしたが、金利が上がると投資家も慎重になります。借り入れコストが上がれば、投資で得られる利益は減り、将来の価格上昇への期待も小さくなります。結果として、これまで価格を押し上げてきた投資マネーも、以前ほど積極的ではなくなっているんですね。

10%の値下げはまだ序章?

さらに、日本銀行は今後も政策金利を段階的に引き上げる可能性があります。もし住宅ローン金利がさらに上がれば、マンションを買える人はさらに限られ、市場の動きは一段と鈍くなるかもしれません。現在平均で約10%の値下げが行われていますが、これは今の金利環境に合わせた最初の価格調整、と考えることもできます。もし今後も金利が上がり続ければ、市場がスムーズに動くためには、今以上の価格調整が必要になる可能性も十分にあるでしょう。

今後の市場を見るポイント

これからの湾岸マンション市場を分析する上で大切なのは、単純に価格が上がったか下がったかだけではありません。「どれくらい値下げすれば売れているのか」「売り始めてから売れるまでの期間は短くなっているのか」「価格を下げなくても在庫が減っているのか」といった「流動性」の変化を確認することが、市場の本当の姿を把握する上で欠かせないポイントです。

これからのマンション市場では、「いくらで売り出しているか」ではなく、「いくらで売れ、どれだけスムーズに取引されているか」が、その物件の資産価値を判断する上で重要な指標となるでしょう。価格の高さだけで市場を評価する時代から、流動性を重視して市場を分析する時代へと、変化しつつあると言えそうです。

筆者紹介

福嶋 真司氏のポートレート

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員

早稲田大学理工学部を卒業後、大手不動産会社でマーケティング調査を担当。その後、建築設計事務所で法務・労務を担当しました。現在はマンションリサーチ株式会社で不動産市場調査や評価指標の研究・開発を行いながら、顧客企業の不動産事業における意思決定をサポートしています。また、大手メディアや学術機関にもデータや分析結果を提供しています。

TAKAweb master

投稿者プロフィール

いろんなことに興味を持ち、いろいろ試しています。
曲がったことが大嫌いで、噓をつく人は嫌いです。
嘘があふれる世の中で真実を追求する姿勢が大切だと思います。

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