湾岸タワマン市場に異変!?在庫急増の先に見える「実需回帰」のポジティブな兆し
- 2026/6/6
- 投資・FX
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高価格帯マンションの在庫が1.5倍に!
東京都湾岸エリアにある、平均売出価格が8,000万円以上の高価格帯マンションの在庫は、2025年1月には約1,050件だったのが、2026年4月には約1,500件にまで増えています。たった1年ちょっとで、なんと約1.5倍にも膨れ上がった計算です。

中古マンション市場で在庫が増えるのは、かなり重要なサインです。これは単に「売り物件が増えた」というだけでなく、「買い手が減って、売れるまでに時間がかかっている」という需要の弱まりも反映しているから。特に湾岸エリアでは、最近の価格高騰で、これまで市場を支えてきたパワーカップル層や高所得ファミリー層でも「ちょっと高すぎるな…」と感じて、購入しづらくなっているのかもしれません。
湾岸エリアに広がる「在庫滞留」
さらに気になるのが、在庫の偏りです。以下の地図を見ると、高価格帯マンションの在庫がどのように変化しているかがわかります。

地図上の「青プロット」は在庫が増加傾向にあるマンションを示していますが、湾岸エリアにはこの青いプロットが広範囲に点在していますね。これは一時的な売却増というよりは、市場全体として「買い手が現在の価格についていけなくなっている」可能性を示唆しています。
湾岸タワーマンション市場では、これまで「含み益」を背景にした転売も活発でした。価格が上がる局面では、売却益を狙った住み替えや短期売却でもすぐに買い手が見つかりましたが、現在はそのスピードが明らかに落ちています。つまり、以前ならあっという間に売れていた物件が、市場に滞留し始めているんです。
値下げ回数と販売期間の長期化
この傾向は、販売にかかる日数や値下げの回数にも表れています。湾岸エリアの中古マンションの「販売日数」と「値下げ回数」の推移を見ると、2026年以降に成約した物件では、値下げ回数が大幅に増え、販売期間も長くなっていることがわかります。

これは象徴的な変化ですね。これまでの湾岸市場では、「強気な価格で売り出しても、短期間で売れる」ことが珍しくありませんでした。でも今は、売主さんが高値を維持して売り出すものの、買い手がつかず、何度も値下げをしてやっと売れるケースが増えていると考えられます。
初回売出価格からの値下げ率も拡大傾向にあるようです。これは、売主さんの「まだ上がるはず!」という期待と、買い手さんの「金利も上がるし、景気も不透明だし、もう価格が高すぎて疲れたな…」という慎重な気持ちにギャップが生じていることを意味します。
晴海タワマンに見える価格調整の兆候
晴海を代表するタワーマンションの階層別の成約坪単価の推移を見ると、市場の変化がより鮮明になります。高層階、中層階、低層階を問わず、2025年末頃をピークに、その後はピーク時を下回る成約単価で推移していることが確認できます。


これは「相場が崩壊している」というよりは、「過熱した価格形成が調整局面に入り始めた」と見るべきでしょう。湾岸タワーマンションは、価格上昇局面では資産性への期待が先行しやすい一方で、市況が変わると価格調整のプレッシャーも受けやすい特徴があります。
価格が調整し始めているのに、なお販売期間が長くなっている点も注目です。これは、今の価格水準そのものが、すでに買い手にとっての許容範囲を超え始めている可能性があるということですね。
実需回帰の可能性
今後、住宅ローン金利の動向や経済状況によっては、湾岸市場では「価格を維持する」よりも「早く売却する」ことを優先する動きが増えるかもしれません。これまで東京都の中古マンション市場を引っ張ってきた湾岸タワーマンション市場は、まさに今、転換点に差し掛かっているのかもしれません。
でも、これは決してネガティブな変化ばかりではありません。これまでの湾岸市場は、急激な価格高騰によって一部の富裕層や投資マネーに強く支えられており、実需層にとっては「買いたくても買えない」状況が続いていました。特にファミリー層では、必要な広さを確保しようとすると価格負担がとてつもなく重くなり、購入を諦めざるを得ないケースも少なくありませんでした。
しかし、価格が一定の調整局面に入ることで、これまで市場から遠ざかっていた実需層が、再び購入を検討しやすくなる可能性があります。現在起きている流動性の低下は、市場の崩壊というよりも、「過熱した価格が、本来の実需に近い水準へと正常化していく過程」と捉えることもできます。
住宅市場は、価格だけでなく「売買が成立すること」そのものが非常に大切です。適切な価格帯に調整されることで、購入を検討する人の幅が広がり、結果として市場全体の流動性が回復することも考えられます。湾岸エリアは、交通の便の良さや眺望、大規模な開発による街の将来性など、依然として高い魅力を持っています。その価値が急激に失われたわけではありません。
むしろ、価格と需要のバランスが再調整されることで、投資主導だった市場から、再び実需が中心となる安定した市場へと移行していく可能性も十分に考えられます。
調査概要
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調査期間: 2021年1月~2026年5月25日
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調査機関: 株式会社マンションリサーチ
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調査対象: 東京都中央区・江東区湾岸エリアの中古マンション
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サンプル事例数: 21,264事例
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調査方法: 公開されている中古マンションの売出情報を収集し、統計処理を実施。
筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員
早稲田大学理工学部を卒業後、大手不動産会社でマーケティング調査を担当。その後、建築設計事務所で法務・労務に携わる。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査や評価指標の研究・開発を行う傍ら、顧客企業の不動産事業における意思決定サポートも行っています。大手メディアや学術機関へデータおよび分析結果を提供しています。
福嶋総研 公式ページ: https://fukushima-souken.jp/
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