2026年第1四半期、都心中古マンション市場に異変?!値下げ圧力と二極化のリアル

  • 2026/4/11
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はじめに:2026年Q1の不動産市場、静かな転換点へ

2026年もあっという間に最初の四半期が過ぎましたね。この期間の中古マンション市場を振り返ると、全体的には大きな変化がないように見えても、エリアごとに見ると、実は明確な動きが表れていることがわかります。

特に東京都心部(都心5区)とそれ以外のエリアでは、市場の温度差がじわじわと広がっているようです。

都心5区で加速する値下げの波

前四半期と比べて最も目立つ変化は、都心5区における値下げ幅が拡大している点です。2025年10月~12月の中古マンション値下げ率は5.77%でしたが、2026年1月~3月には6.24%へと上昇し、これは2023年以降で最も高い水準となっています。

都心5区及び23区の中古マンション値下げ率

さらに、この値下げ率は2024年7月~9月以降、継続的に高くなっています。これは一時的な調整ではなく、売主が価格を見直さざるを得ないような、構造的な圧力が強まっていることを示しているのかもしれません。これまで価格上昇をリードしてきた都心5区で、需要と供給のバランスに変化が起き始めているのは、市場全体にとっても重要なサインと言えるでしょう。

23区全体は安定ムードを維持

一方で、東京23区全体で見てみると、状況は少し異なります。2026年1月~3月の中古マンション値下げ率は5.53%と、前四半期と比べてほんの少し増えた程度で、全体としては横ばいの動きが続いています。

このことから、少なくともマクロ的に見た23区市場では、急激な市況の悪化や需給の崩壊といった兆候は見られません。つまり、都心5区で見られる値下げ圧力の強まりは、23区全体に広がっているわけではなく、特定のエリアに限定された現象だと考えられます。

この「局所的な調整」と「全体の安定」という対比が、今の市場を理解する上で大切なポイントになりそうです。

都心5区で顕著な「売れにくさ」

さらに、都心5区における販売期間と値下げ回数の推移を見ると、どちらも増加傾向にあることがわかります。これは単に価格を下げているだけでなく、「値下げをしてもなかなか売れない」という状況が生まれていることを意味します。

都心5区: 中古マンションの販売日数と値下げ回数

これまでの市場環境では、ある程度の価格調整をすれば契約に至ることが多かったですが、現在は買主側の選ぶ目がより厳しくなっていると推測されます。価格だけでなく、立地や築年数、専有面積、ブランドといった様々な要素において、より高い水準が求められているのかもしれません。

これに対して、23区全体では販売期間も値下げ回数も前四半期と大きな差はなく、流動性の観点でも横ばいで推移しています。つまり、市場全体の流動性が低下しているわけではなく、都心5区でのみ流動性の低下が顕在化している構図です。

東京都23区: 中古マンションの販売日数と値下げ回数

市場の二極化、高価格帯で顕在化する反動

こうした動きの背景には、2023年以降に明らかになった中古マンション市場の構造変化があります。特に象徴的だったのは、2023年7月から翌年7月にかけて、成約坪単価が新規売出坪単価を上回るという珍しい現象です。

この期間は、高価格帯の中古マンションが優先的に売れるという状況が発生しました。しかし、この歪みは長く続くものではなく、価格形成の前提そのものにズレを生じさせる原因となりました。

結果として、市場は「実際に住む人が求める適正価格帯」と「期待先行で価格が上がった高価格帯」に分かれ、いわゆる二極化が進んでいったのです。

2026年に入り、この二極化の影響がより鮮明になっています。特に都心5区のような高価格帯マーケットでは、これまで価格が上昇し続けてきた反動が表れ始めています。

言い換えれば、「価格は上がり続ける」という前提で市場に参加していた人たちの期待が、修正されつつある局面にあるということです。購入を考えている人たちは、金利や将来への不確実性を考慮して慎重な姿勢を強めており、売主が設定する価格との間にギャップが広がっていると考えられます。

その結果として、値下げ率の上昇、販売期間の長期化、値下げ回数の増加といった数字に現れているように、需要と供給の調整が進んでいる状況です。

今後の市場、どう読み解く?

以上のことから、現在の中古マンション市場は「全体的に下落している局面」ではなく、「エリアや価格帯によって選別が進む局面」にあると整理できます。特に都心5区では、これまでの上昇局面に対する調整が本格化しており、短期的には少し軟調な動きが続くかもしれません。

一方で、23区全体では依然として活発な取引が維持されており、実際に住む人が支えるマーケットは底堅さを保っています。そのため、今後の市場分析では、「都心=強い」というこれまでの単純な見方ではなく、もっと細かな需給構造を把握することがとても重要になるでしょう。

市場は今、次の成長段階に向けて調整フェーズにあると考えられます。その中で、どのエリアやどの価格帯が持続的な需要を獲得できるのかが、今後の大きな焦点となりそうです。

調査元について

今回の調査は、マンションリサーチ株式会社のデータ事業開発室で不動産データ分析責任者を務める福嶋 真司氏が、代表研究員を務める福嶋総研によって行われました。

福嶋真司氏のプロフィール画像

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員

早稲田大学理工学部を卒業後、大手不動産会社でマーケティング調査を担当。その後、建築設計事務所で法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社で不動産市場調査や評価指標の研究・開発を行う傍ら、顧客企業の不動産事業における意思決定をサポートしています。また、大手メディアや学術機関にもデータや分析結果を提供しています。

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