若者の価値観ってどう変わってる?早稲田大学とリザプロが共同調査レポートを公開!
- 2026/2/26
- 自己啓発・学習
- 若者の価値観ってどう変わってる?早稲田大学とリザプロが共同調査レポートを公開! はコメントを受け付けていません

目次:Contents
調査の背景:変化する社会と若者の意識
社会全体で「物質的な豊かさ」よりも「精神的な豊かさ(ウェルビーイング)」が重視されるようになり、働き方も「終身雇用」から「転職ありきの就職」へと変化しています。AIの進化で便利になる一方で、私たちは日々、多様な情報や価値観に触れることで、「自分なりの正解」を見つけることが求められる時代になりました。
このような変化の中で、若者の間では「ワークライフバランス」から「ライフインワーク」(生活の一部としての仕事)へ意識が移行し、「安定と堅実」「コスパ・タイパ」を重視しつつも、「貢献感」や「成長実感」を求める傾向が強まっているとされています。
今回の調査は、これまで感覚的に語られることの多かった若者の価値観変容を、具体的なデータとインタビューで実証的に明らかにするために行われました。
調査の概要:高校生894名と若者9名に聞く
この調査は、2025年10月から12月にかけて実施されました。対象は高校生894名へのアンケート調査(定量調査)と、19歳〜24歳の若者9名へのインタビュー調査(定性調査)を組み合わせた「混合研究法」という手法が用いられています。Z世代・α世代の価値観の変容を、多角的に探った研究なんですよ。
調査では、次の3つのリサーチクエスチョン(RQ)が設定されました。
-
RQ1:若者は、安定、出世、物質的豊かさなどの外発的な価値観よりも、自己成長、内面的充足といった内発的な価値観を重視しているのか?
-
RQ2:若者は、生理的欲求・社会的欲求よりも、承認欲求や自己実現欲求を重視し、マズローの欲求ピラミッドは逆転しているのか?
-
RQ3:若者は、自己超越(利他的動機×内発的動機)の欲求を持っているのか?

※マズローの欲求ピラミッドとは、心理学者アブラハム・マズローが提唱した、人間の欲求を5つの階層に分類した理論です。下位の欲求が満たされると、次の上位の欲求を求めるようになるとされています。
※自己超越欲求とは、マズローの欲求段階説の最上位(第6段階)に位置し、自分のエゴを超えて他者や社会、宇宙など大きな存在に貢献したいという利他的な欲求を指します。
調査結果から見えてきた若者のリアル
今回の調査の結果、マズローの欲求ピラミッドは逆転していることが明らかになりました。自己実現欲求(利己的×内発的)は強く見られるものの、自己超越欲求(利他的×内発的)にまで至っているとは言えない結果だったそうです。
RQ1に対する調査結果
アンケート調査では、生活のための「所得」や「雇用の安定」といった外発的な価値観が最も重要視されており、それらを前提として「自己成長」や「ビジョンや夢の実現」が重視される傾向が見られました。つまり、定量的に見ると、内発的な価値観よりも外発的な価値観を重視しているとは言い切れない結果です。
一方、インタビュー調査では、9人中6人が、入学難易度(偏差値)や就職の強さといった「外発的動機」ではなく、学びの内容や将来のキャリアとの接合、新たな出会い・可能性といった「内発的動機」で大学進学を決めていました。主体的に考えたり話したりできる環境が、内発的動機を育む上で大切だということも分かったんですよ。
RQ2に対する調査結果:マズローの欲求階層は逆転!
アンケート調査の結果、「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」はすでに満たされている一方、「承認欲求」「自己実現欲求」「自己超越欲求」を今後満たしたいと考えていることが判明しました。約30%の高校生が「自己実現欲求」を、約20%が「自己超越欲求」を今後最も満たしたいと回答しており、マズローの欲求階層が逆転し、より高次の欲求から満たしたいと志向していることが明らかになりました。
RQ3に対する調査結果:自己実現欲求は強いけど…
インタビュー調査では、将来のキャリアにおいて社会課題の解決や世の中を変えたいといった「利他的動機」ではなく、個人が「楽しい」と感じられるか、ワークライフバランスといった「利己的動機」が重視されていました。アンケート調査でも、「所得」や「雇用の安定」(利己的×外発的動機)と、「成長」「ビジョンや夢の実現」(利己的×内発的動機)が重視されており、自己超越欲求を持っているとは言い難い結果となりました。
レポートから見えた特徴的な傾向
男女差に関する知見
-
生理的欲求から自己超越欲求のすべての欲求階層において、女性の方が男性よりも「満たされている」と回答する割合が高い。
-
男性よりも女性の方が、自己実現欲求や自己超越欲求といった高次の欲求をより優先的に満たしたいと考える傾向がある。
-
大学進学では、男性は「就職の強さ」を重視する一方、女性は「学びの内容」や「大学の雰囲気やカラー」を重視。
-
将来のキャリアにおいて、女性の方が「ビジョンや夢を実現する」「人や社会の役に立つ、感謝される」といった自己実現・自己超越を重視する傾向が見られます。




年齢に関する知見
-
15〜18歳でキャリア観の基本構造は大きく変わらず、年齢に関係なく「お金」や「安定」を前提としつつ「成長」や「夢・ビジョンの実現」を重視。
-
年齢が上がるにつれて「入学難易度」や「ネームバリュー」といった外発的な動機を重視する割合が増え、逆に「大学の雰囲気・カラー」や「学びの内容」などの内発的な動機が重視されなくなっている。
-
いずれの年齢でも「自己実現欲求」「自己超越欲求」が一貫して高く、高校生は早い段階から「生き方」や「成長」に関わる欲求を重視しています。



親の学歴に関する知見
-
親の学歴が高いほど、子どもが内発的動機を重視する傾向が見られますが、「お金」「安定」「自己成長」といった利己的動機は学歴に関係なく重視。
-
親の学歴が高いほど、子どもが大学進学の際に「学びの内容」を重視し、親の学歴が低いほど「学費・奨学金」「アクセス」「入試制度」などの制度的条件が重視される。
-
特に母親の学歴の方が、子どもの欲求構造との相関が強いことが分かりました。



インタビューから見えた若者の進路選択の実態
インタビュー調査からは、偏差値や大学のネームバリューよりも「自分がやりたいことができるか」「新しい可能性や出会いがあるか」「自分が研究したい分野の授業が充実しているか」など、内発的な動機から進路を決定する若者の姿が鮮明になりました。
例えば、「外資系CAを目指したい」という明確な目標からAPUを選んだ学生や、高校時代から指導を受けていた教授がいることを理由に横浜市立大学を選んだ学生など、一人一人が自分なりの軸で大学を選んでいることが分かります。
また、将来のキャリアにおいては「楽しく働けること」「選択肢がある状態でいること」「ライフワークバランスが取れていること」など、利己的ではあるものの内発的な動機が一貫して重視されていました。
考察と提言:自己超越は「自覚」が鍵!
この調査で最も重要な考察は、若者に自己超越欲求が「ない」のではなく、「自覚されていない」ということです。自己実現欲求と自己超越欲求がまだ結びついていないのかもしれません。自己超越は、自然に生まれる欲求というよりは、行動と、その行動に意味を与えること(意味づけ)を繰り返す中で自覚されていくものだということが示唆されました。
インタビュー調査では、「気づいたら社会的課題から逆算して考えていた」という、自然発生的な学びの例も確認されています。地域の衰退について仲間と議論したり、貧困・教育格差の問題について有識者にアポイントを取ったり、医療を使って社会を良くしたいという動機で課外活動を実施したりする学生など、「楽しさや興味の延長が、結果的に利他的な行動につながっている」事例があったんです。

若者が自己超越を自覚するために、次の3つのアプローチが必要だと提言されています。
- 自己実現と社会的意義が両立する行為を経験すること
「楽しい・面白い」という内発的動機から始まった行動が、結果として社会とつながったときに自己超越が芽生えます。「正解のある社会貢献」ではなく、「自分の問いが社会とつながる経験」の場を、大学進学前の学生に用意することが重要です。 - 行為の社会的意味を事後的に言語化すること
若者は「社会のためにやっている」という自己認識を、後から獲得する傾向があります。経験したことに意味づけがされないと利他的動機に繋がりにくいため、行動を振り返り、言葉にする機会を設けることが鍵となります。 - 意味づけを翻訳してくれる他者との関係を持つこと
若者に必要なのは「評価者」ではなく、「意味の翻訳者」です。例えば、課外活動の場で「それって、こういう社会的意味があるよね」と言語化してくれる存在が、自己超越の自覚を促します。
レポート全文はこちらから!
今回の分析レポートの全文は、以下のリンクからダウンロードできます。
「若者の価値観変容に関する調査」レポート
まとめ
今回の調査は、若者の価値観が「変わった」のではなく、社会の変化に合理的に適応している「再編」であるという重要な示唆を与えてくれました。データに基づいた世代理解が進むことで、今後の教育や社会づくりに役立つことが期待されますね!


























