マンション価格、ホントに下がらないの?家を持つことのリスクを清水先生と数字で見てみよう!(第2回)

  • 2026/2/25
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DCF法は万能じゃない?計算の「前提」がリスクの正体!

でも、DCF法は万能の魔法ではありません。この計算は「前提(仮定)」にすごく敏感なんです。つまり、前提がちょっと変わるだけで、「価値」が何百万円も動いてしまう可能性があります。これが、家を持つときに潜む大きなリスクの正体なんですね。

今回は、マンション購入前にぜひ知っておきたい2つのリスクを、具体的な数字で見ていきましょう!

  • 金利(割引率)が1%上がると、投資価値はどれくらい下がるのか?

  • 10年後に3,000万円で売れなかった場合、価値はどれくらい変わるのか?

まずは「基準」のケースを再確認!

あなたが買おうとしているマンションの条件を、仮にこう設定してみましょう。

  • 家賃:月10万円(=年120万円)

  • 家賃が続く期間:10年

  • 10年後の売却価格:3,000万円

  • 割引率:年2%

この条件でDCF法を使って「いまの価値」を計算すると、合計で約3,539万円になります。今回はこれを「約3,540万円」として、“基準点”にしてみます。ここから前提を動かして、価値がどう変動するか見ていきましょう。

リスク1:金利(割引率)が1%上がると、価値はどうなる?

住宅購入における「金利」には、住宅ローン金利と、将来の価値を現在価値に換算する「割引率」の2種類があります。厳密には違うものですが、世の中の金利環境が変わると、これらは同じ方向に動くことが多いんです。そして、市場価格(売買価格)には「割引率」が強く影響します。

では、「金利が1%上がった世界」、つまり割引率が2%から3%に上がったらどうなるでしょう?

フクロウのイラスト

「ええっ!? たった1%変わっただけで、約284万円も価値が下がったのですか?」

そうなんです。計算し直すと、約3,256万円に価値が下がります。基準の3,540万円と比べると、約284万円も価値が下がってしまうんです。

これは、住宅の価値の大部分が「遠い将来の大きなお金」――つまり『売却価格』に支えられているから。売却価格のような“遠い未来”の大きな金額は、割引率が少し上がるだけで、大きく価値が削られてしまうんですね。

住宅は、金利に弱い資産と言えます。「金利が少し動いただけ」でも、価格(価値)は大きく揺らぎやすいので、注意が必要です。

リスク2:10年後に3,000万円で売れなかったら?

次のリスクは、もっと分かりやすいかもしれません。「10年後に本当に3,000万円で売れるのか?」という問題です。転勤や家族の変化など、「いつか売るかもしれない」というのは、多くの人にとって現実的な未来ですよね。

笑顔の男性イラスト

「確かに。転勤、家族構成の変化、親の介護、子どもの進学、仕事の変化……。「いつか売るかもしれない」というのは、多くの人にとってかなり現実的な未来ですよね。」

その通りです。売却価格が想定より下がるリスクは、投資目的の人だけでなく、自宅として買う人にも直接影響するリスクです。では、割引率は元の2%に戻して、売却価格だけを動かしてみましょう。

  • ケースA:10年後、2,500万円でしか売れなかった場合
    基準(約3,540万円)と比べると、現在の価値は約411万円下がって、約3,129万円になります。

  • ケースB:10年後、2,000万円でしか売れなかった場合
    基準(約3,540万円)と比べると、現在の価値は約821万円下がって、約2,719万円になります。

10年後の売却価格が500万円下がるだけで、現在の価値は約400万円も消えてしまうんです。1,000万円下がれば、現在の価値は約800万円も消えてしまう可能性があります。住宅価格(価値)は、「家賃」の積み上げだけでなく、「最後にいくらで売れるか」という期待に強く支えられていることが分かりますね。

売却価格の期待は、次のような要素で簡単に揺らぎます。

  • その街の人気が続くか(人口・雇用・再開発)

  • 周辺で新築供給が増えすぎないか

  • 建物が古くなったとき、買いたい人がいるか

  • 管理状態が良いか(修繕・管理組合・トラブル)

  • 災害リスクや規制の変化はないか

  • 「マンションは上がる」というムードが続くか

リスクの本質は「前提に乗りすぎること」

ここまでの数字をまとめると、こう言えます。

  • 金利(割引率)が1%上昇 → 価値が約280万円下がる

  • 売却価格が想定より500万円ダウン → 価値が約410万円下がる

  • 売却価格が想定より1,000万円ダウン → 価値が約820万円下がる

そして現実には、「金利が上がる局面で、不景気になり売却価格の期待も弱くなる」という“同時発生”が起きることもあります。家を持つことのリスクとは、あなたが買うときの価格が、ある前提(低金利・強い期待)の上に立っているということ。その前提が動けば、価値も動いてしまいます。

もっと大事なのは、前提が動くこと自体よりも、「前提が動いたときに、あなたが耐えられるかどうか」です。

購入前にできる、いちばん実用的な「守り方」

フクロウのイラスト

「先生、どうすればいいんでしょう? 未来のことなんて誰にも分からないのに。」

難しい予測を当てにいく必要はありません。「高騰は続くか」を当てにいくのではなく、「予測が外れても生活が壊れない買い方」に寄せていくのがおすすめです。

たとえば、検討中の物件について、次の3つのシナリオを計算してみてください。

  1. 基準シナリオ:いま考えている前提(割引率2%、売却3,000万円など)
  2. 控えめシナリオ:割引率+1%(=3%)、売却価格-10〜20%
  3. 厳しめシナリオ:さらに売却価格-20〜30%、想定外コストも少し上乗せ

そのうえで、「控えめシナリオ」になったとしても、家計が回って、住み続けられて、気持ちが崩れないなら、その購入決断はかなり強いと言えるでしょう。

次回に向けて:「それでも住む価値としてどう考えるか」

ここまで読むと、少し不安になったかもしれませんね。でも、怖がらせたいわけではありません。大切なのは、住宅が「資産」である以上、リスクは避けられないという事実を知ったうえで、「それでも買う理由」を自分の中に持つことです。

次回は、この「それでも買う理由」について、もっと深く掘り下げていきます。

  • 価格が多少下がっても、「それでもここに住んでよかった」と思える条件は何か?

  • 「住む価値」をどうやって判断に組み込むのか?

  • 資産としての目線と、生活としての目線を、どうやって両立させるのか?

数字だけでは決められないけれど、数字を無視すると危ない。そのちょうど真ん中を、皆さんの言葉で整理できるようにしていきましょう。次回も、ぜひ一緒に考えていきましょう。お楽しみに!

『PropTech-Lab(プロップテック・ラボ)』について

PropTech-Labロゴ

『PropTech-Lab』は、不動産市場に新たな価値をもたらし、人々が住まいを選ぶ際の新たな基準や簡便さ、価値観を醸成し、提供することを目指しています。市場のニーズに応え、価格高騰のスパイラルを抑制し、より多くの人々が質の高い住宅を手に入れられるよう努めています。

『PropTech-Lab』所長 清水 千弘氏について

清水千弘氏

一橋大学大学院ソーシャルデータサイエンス研究科教授、社会科学高等研究院都市空間不動産解析研究センター・センター長。1994年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程中退。東京大学博士(環境学)。財団法人日本不動産研究所研究員、リクルート住宅総合研究所主任研究員、麗澤大学教授、日本大学教授、東京大学特任教授等を歴任し、2024年7月より『PropTech-Lab』所長に就任しました。

株式会社property technologies(プロパティ・テクノロジーズ)について

「UNLOCK YOUR POSSIBILITIES. ~テクノロジーで人生の可能性を解き放つ~」をミッションに掲げ、年間36,400件超の不動産価格査定実績やグループ累計約15,100戸の不動産販売で培ったリアルな取引データ・ノウハウを背景に、「リアル(住まい)×テクノロジー」で、誰もが気軽に住み替えられる未来を目指し、手軽で利便性の高い不動産取引を提供しています。

会社名:株式会社property technologies
代表者:代表取締役社長 濱中 雄大
URL:https://pptc.co.jp/
本社:東京都渋谷区本町3-12-1 住友不動産西新宿ビル6号館12階
設立:2020年11月16日
上場:東京証券取引所グロース市場(5527)

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いろんなことに興味を持ち、いろいろ試しています。
曲がったことが大嫌いで、噓をつく人は嫌いです。
嘘があふれる世の中で真実を追求する姿勢が大切だと思います。

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