データが語る!東京「3A+R」エリアのマンション価格、六本木が急騰する理由とは?
- 2026/2/7
- 投資・FX
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面積帯別データが示す「価格上昇の正体」
「3A+R」エリアにおける面積帯別の坪単価の推移を見ると、住戸面積が大きくなるほど坪単価が上がる傾向がはっきりと表れています。特に80㎡以上の広さのマンションでは上昇幅が大きく、2020年には坪600万円前後だった水準が、現在では坪1400万円前後にまで上昇し、2倍以上という異例の伸びを見せています。
この現象は、単に地価やブランド力が高まった結果だけではなく、富裕層の住宅ニーズの変化が強く影響していると考えられます。近年は「立地×広さ×築浅×眺望」といった複合的な価値が重視され、駅からの距離以上に、プライバシー性の高い広さや共用施設の充実度、建物のブランド性、高層階からの眺望などが価格形成に大きく貢献するようになっています。
その結果、平均値や中央値だけを見るとエリア全体が均等に価格上昇しているように見えますが、実際には価格上昇の中心は限られた広面積帯・高グレードの物件に集中しているんです。80㎡以上の住戸は供給が極めて少ない一方で需要が強く、価格が上昇しやすい構造にあり、この点は「3A+R」エリア全体に共通しています。

なぜ六本木だけ突出したの?
「3A+R」エリアの中でも、2006年築以降かつ80㎡以上という条件を満たす住戸の成約割合を見ると、六本木だけが2024年中盤以降に急激な上昇を示しています。この時期は、六本木の坪単価が他エリアと比較して大きく高騰したタイミングと一致しており、両者には強い相関関係があると考えられます。
つまり、六本木の価格高騰は「エリア全体の地価が一様に上昇した結果」というよりも、「築浅かつ広面積帯という高価格帯物件の取引が、他エリアと比べて著しく多かった結果」と見るのが妥当でしょう。築浅マンションは設備水準や耐震性能、共用施設の充実度などが評価され、同じ立地・広さであっても築古物件より高い坪単価で取引される傾向があります。そこに80㎡以上という希少性が加わることで、1件あたりの価格インパクトが大きくなり、市場全体の平均値を押し上げる要因となっているのです。

六本木は、東京の中でも数少ない「世界的に名前が通る街」です。外資系企業の拠点、国際色豊かな商業施設、高級ホテル、ナイトライフ、アート施設が集積し、外国人にとって東京を象徴する都心エリアとして認知されています。そのため、日本の地理や不動産市場に詳しくない外国人投資家であっても、「六本木」という地名だけで立地価値やステータス性を直感的に理解しやすく、投資判断を下しやすいという特徴があります。
このような認知のしやすさは、投資マネー、特に短期的な値上がり益を狙う投機資金にとって重要な要素です。再販時にも「説明しやすく、買い手が付きやすい」立地であることが、流動性と出口戦略の明確さを担保するからです。六本木は、麻布・赤坂・青山といった他の高級住宅地と比べても、国際市場におけるブランドの通りやすさという点で一歩抜きん出ています。
その結果、六本木では「築浅×大型住戸」という高額帯の商品に対して、実需型の居住目的に加え、値上がり期待を前提とした投資・投機マネーが重なりやすい構造が形成されました。特に円安局面では、日本の都心不動産は外貨ベースで割安感が強まり、六本木のような国際的に認知度の高いエリアには資金が流入しやすくなっています。このように、六本木における2006年築以降かつ80㎡以上の取引増加は、「土地柄×国際認知度×流動性」という三つの要素が重なった結果、外国人による投機・投資の対象となりやすい環境が整ったことによる影響が大きいと考えられます。そしてその集中が、見かけ上の坪単価を他エリアと比較して大きく押し上げる構造を生み出しているのです。
表面的な価格に惑わされない!本当のエリア評価とは?
今回の分析から、現在の「3A+R」エリア、特に六本木の価格動向は、必ずしも「居住価値」や「エリアとしての成熟度」そのものの上昇を直接反映しているわけではないことが分かります。むしろ、築浅かつ大型住戸という特定のセグメントに取引が集中した結果として、表面的な数値が歪められている可能性が高いと言えるでしょう。加えて、現在の都心マンション市場には投機的な取引や短期売買が一定数含まれており、実需に基づく価格形成とは異なる力学が働いている点にも注意が必要です。
本来、エリア評価とは単なる価格水準の高低だけで測られるべきものではありません。交通利便性、生活利便性、教育・医療・文化インフラ、治安や街の落ち着き、将来的な都市計画や再開発の余地、住民コミュニティの質やエリアブランドの持続性といった多層的な要素を総合的に考慮して判断されるべきです。そうした観点から見ると、麻布台ヒルズの完成により都市機能が向上した麻布、長年にわたり高級住宅地としての品格を保ち続けてきた青山・赤坂の評価が、六本木に劣るとは必ずしも言い切れません。
むしろ、短期的な価格指標に一喜一憂するのではなく、「どのエリアが中長期的に見て居住価値と資産価値の両立を実現しやすいのか」という視点こそが、これからのマンション選びにおいて重要になります。特定のエリアや物件タイプに取引が集中する局面では、市場データの読み解きには一層の慎重さが求められます。表面的な数値だけに基づいてエリア評価を下すのではなく、その背後にある取引構造や需要層の変化を丁寧に読み解くことこそが、真に価値ある不動産判断につながるのです。
筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社 データ事業開発室 不動産データ分析責任者
福嶋総研 代表研究員
早稲田大学理工学部を卒業後、大手不動産会社でマーケティング調査を担当。その後、建築設計事務所で法務・労務を担当しました。現在はマンションリサーチ株式会社で不動産市場調査・評価指標の研究・開発を行う傍ら、顧客企業の不動産事業における意思決定などをサポートしています。また、大手メディア・学術機関等にもデータ及び分析結果を提供しています。




























